資金繰り表の作成ステップ
資金繰り表は、企業や個人の資金の流れを管理するための重要なツールです。このブログでは、Googleスプレッドシートを使って簡単に資金繰り表を作成する方法をステップ・バイ・ステップで解説します。
step1:空の表計算ソフトを開きます
まずは表計算ソフト(ここではGoogleスプレッドシートを使用)を開きましょう。
step2: 列あたりの期間を決めます
月次・日次・週次が一般的
次に、スプレッドシートの列を期間ごとに設定します。期間は、日次、週次、月次など、実情に応じて決定してください。例えば、月次で資金繰りを管理する場合は、以下のように設定します:
- 必要な開始月の3ヶ月前程度から列を作成。
- 列A: 科目名
- 列B: 3ヶ月前
- 列C: 2ヶ月前
- 列D: 1ヶ月前
- 列E: 今月
これにより、過去と現在の資金状況が一目でわかるようになります。
step3: 大科目を入力します
スプレッドシートの行に以下の大科目を入力します
前月繰越金 | 前月末の現金+預金の残高 |
経常収支 | 日常の営業活動による収支 |
経常外収支 |
一過性の要因による収支(設備購入、臨時収入など) |
財務収支 | 資金調達や返済等による収支 |
収支合計 | 収支の合計(=経常収支+経常外収支+財務収支) |
翌月繰越金 | 当月の最終残高(=翌月の開始残高 =前月繰越金+収支合計) |
step4: 大科目の内訳を入力します
次に、大科目の詳細を記入します。それぞれの内訳を以下のように入力してください:
(1) 経常収支
- 経常収入: 売上収入、サービス収入など、日常的な営業活動で得られる収入。
- 経常支出: 給与、光熱費、材料費など、営業活動に伴う支出。
(2) 経常外収支
- 経常外収入: 資産売却益、臨時収益、助成金など、日常業務以外で得られる収入。
- 経常外支出: 特別損失による支出、一過性の出費など。尚、法人税や消費税については経常支出としても経常支出としても可。
(3) 財務収支
- 財務収入: 借入金、株式発行など、資金調達による収入。
- 財務支出: 借入金返済、配当金支払いなど。尚、利息支払については、経常支出としても、財務支出としても可。
step5: 損益計算書、貸借対照表との整合性を確認する
資金繰り表が完成したら、損益計算書や貸借対照表との整合性を確認してください。特に以下のポイントに注意しましょう。
- 売上入金の時期は正しいか?
- 見落としている経費がないか?
- 納税や社会保険料納付の見落としはないか?
- 資産の異動(購入・売却)に見落としはないか?
- 季節要因の見落としはないか?
step6: 繰越金が不足しないかを確認する
最後に、翌月(または翌日・翌週)の繰越金がマイナスにならないかを確認しましょう。資金が不足する場合は、以下のような対応を検討してください:
- 支出の削減
- 資金調達の計画
- 資金運用の見直し
資金繰り表の期中管理
資金繰り表は
実際の現金預金残高と突合する
スプレッドシートの「前月繰越金」が、実際の口座残高や現金残高と一致しているか確認します。翌月の「前月繰越金」は実際の残高で始める必要があるので、不一致がある場合は、内訳科目の数値を修正するか、差額を表示し、差異が発生した原因を調査しします。
翌月以降の予定を更新する
収入や支出の予定を最新の情報に基づいて見直します。
- 当月に予定していたが翌月以降にズレたものはないか?
- 新たな契約等による収入の増加はないか?または契約解除による減少はないか?
- 新たな支出の増加はないか?
- 借入の目処がたっていないか?
資金繰り表を金融機関へ提出する際の修整ポイント
資金繰り表は、銀行などの金融機関から提出を求められることがあります。その場合、社内の管理資料をそのまま提出するのはおすすめできません。必要十分な科目等に修整を加えてから提出しましょう。以下に主な修整ポイントを挙げます。
- A4〜A3で1枚におさまるようにする
まずは全体の分量の目安として、1枚でおさまるようにします。特に費用項目を細かく表示する必要はありません。ただし、人件費(役員報酬・給与手当・賞与・法定福利費)や地代家賃、広告宣伝費などの金額が大きい費目は表示します。表示しきれない費目は「その他」にまとめます。 - 金融機関別の借入・返済を内訳に表示
金融機関別にどこからいくら借りていて、いくら返済するかの内訳を表示します - 借入したい金額を加える
融資の打診をしている場合は、打診金額を予め加えた上で提出しましょう。尚、返済も増やす必要があります - 損益計算書と貸借対照表の主要科目を加える
金融機関の担当者は、受け取った資金繰り表を検証します。その検証に必要な科目として、売上高・仕入高等の数値が必要になるため、表の下段に余裕があれば追加します。 - 提出期間分の合計を加える
提出期間を通じてどのような収支または残高となるのかを示すため、提出期間分の合計を加えます。