融資の陳情;権力者の「口利き」は有効か?

銀行員とのコネを利用して融資を有利に働かせる情実融資ができないなら、政治家の先生から圧力をかけてもらおう、という発想もあるかもしれません。これは陳情案件と言われますが、これも徒労に終わる可能性が高いです。

陳情案件とは

政治家や権力者の口利きで銀行に持ち込まれる「陳情案件」

一般に陳情とは陳情(ちんじょう)とは、個人や団体が自分たちの要望や意見を、行政機関や政治家に直接伝える行為を指します。

その中でも、自分の経営する会社に融資してもらおうとして政治家に働きかける「陳情案件」は、銀行員が嫌う融資の申込経路です。

こうした案件が持ち込まれると、審査プロセス上は他の会社と差別することはできませんが、(特に謝絶した場合の)対応について気を遣う必要があることが多いためです。

陳情案件が銀行に持ち込まれる流れ

  1. 陳情の発生
    企業や個人が資金調達が困難な状況に陥り、直接銀行からの融資を得られない場合、政治家や影響力を持つ人物に助力を求めます。
  2. 政治家・権力者の関与
    政治家や権力者が銀行に対して特定の融資案件を「特別扱い」するよう依頼します。これがいわゆる「口利き」と呼ばれる行為です。
  3. 銀行の対応
    銀行側が、審査を実施します。

陳情案件は借り手の有利に働くか?

結論を言うと、陳情案件が借り手の有利に働くということはありません。理由は以下です。

  • 審査の公正性の維持のため
    審査の公正性の維持は、金融機関の業務運営上きわめて重要です。
  • 監督官庁(金融庁)の存在
    金融庁は陳情案件を有利にしていないかという点を厳しく指摘してきます。
  • 貸倒リスクを抱えるから
    真っ当に申込みをしたら通らない案件だからこそ陳情となるので、不良債権になりやすいと考えられます
資金繰り.com編集部

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